認知症介護実践者研修
認知症介護実践者研修とは?
グループホームでは、認知症のことをよく理解したうえで、できる限り症状の進行を緩和させるようなケアを行うことが要求されます。ホーム側も、質の高い介護を担える人材を確保する必要があります。認知症のプロを増やすべく2001年度から開始されたのが、認知症介護実践者研修です。認知症介護実践者研修は、認知症の人の生活を支える上で必要な知識やスキルを体系的に学ぶための研修です。認知症ケアの専門性を高めたい介護職員にとって、非常に重要な資格といえるでしょう。この研修では、認知症の症状や進行過程、適切なケアの方法、コミュニケーションのポイントなどを深く理解することができます。また、認知症の人を取り巻く家族や地域社会との連携の重要性についても学び、多職種連携のスキルを磨くことも可能です。単なる知識の習得だけでなく、実践的な演習や事例検討を通して現場で活かせるスキルの習得に重きを置いているのが特徴です。
認知症介護実践者研修を取得するメリット
認知症介護実践者研修の資格を取得するメリットは多岐に渡ります。まず、認知症ケアに関する専門知識とスキルが向上するため、現場での対応力が格段に向上します。認知症の人の行動や言動の背景にある心理を理解して適切なケアを提供することで、より強固な信頼関係を構築できるでしょう。また、資格を取得することで、キャリアアップの可能性も広がります。資格を取得すると、職場での評価向上や資格手当の支給などが現実になる可能性があります。さらに「認知症介護実践リーダー研修」や「認知症介護指導者養成研修」などの上位資格を取得することで、ステップアップも目指せます。これらの資格保有者が在籍していると認知症専門ケア加算を取得できる可能性があるので、事業所にとってもありがたい資格です。そのため研修を修了しておくと、転職時などに重宝される可能性が高いです。
認知症介護実践者研修の資格を取得するには?
認知症介護実践者研修の受講条件は、都道府県によって異なります。例えば東京都では、介護福祉士と同等の知識・技術、2年程度の認知症高齢者介護実務経験、そして施設・事業所でのリーダーもしくは近い将来リーダーになる予定があることなどが挙げられます。ただし、リーダーの条件を満たさなくても受講可能な場合や、条件を満たしていても職場からの推薦が必要な場合もあります。推薦人数は施設によって異なり、応募者多数の場合は配置義務のある施設職員が優先されるため、必ずしも受講できるとは限りません。研修内容は標準カリキュラムに基づき、「認知症の基本理解」と「具体的なケアの実践や介護技術」に大別されます。前者では認知症ケアの基本理念や倫理、家族介護者への対応、権利擁護などを学び、後者では生活支援やアセスメント、ケアの実践などを学びます。多くの場合、グループワーク形式の演習を通して他の参加者と学びを深めます。修了証の交付は全カリキュラムの受講と報告書の提出をもって行われ、修了試験はありません。研修を修了すると、都道府県から「認知症介護実践者研修修了証」が交付されます。